『 俳 句 』 能なし

俳句初心者が、俳句で綴る日記帳    『難読語読めぬ俳句の冬講座』

『立つ鳥の枝の反動木の葉舞ふ』

冬うらら! 木曽三川水郷公園に出かけた。 モミジバフウの木が紅葉し、トゲトゲの実をおとしていた。 見た目の可愛らしさで、リースに使うことも。 ネットによれば、小さな穴があり水槽の稚エビの隠れ家に使うことも。 落葉踏む心地良さに、童が駆け回ってい…

『親指に陽のいろ残る蜜柑狩』

太陽の色になりきる蜜柑! 郊外の園芸センター隣地で、蜜柑狩りが行われている。 若い家族連れが楽しんでおり、4個食べたと女の児の声も聞こえてくる。 走り回る男の児も。 先日は幼稚園の団体がいた。蜜柑狩り用の畑に若い木を育て、低い枝にいっぱい実をつ…

『自販機の「あったか〜い」押す冬隣』

駅前の自販機で、お茶を買うことに。 秋晴れの中、歩けば喉も渇く。 とは言え、自販機に「つめた〜い」もあるが、ふと考えては「あったか〜い」を押すのであった。 明日は立冬!

『夕風に草焼く匂ひ八つ頭』

里芋を掘ったが、今年は小振りが多い。 芋は水で土を落とし、3日程乾かし保存食とする。 隣で農家さんも、出荷用の里芋を栽培している。茎が太く芋も大きそうだ。 余り手をかけてないように見えるが、何が違うのか。 土いじりの仲間の畑より、煙が漂って来る…

『木の実落つ音を探して実を探す』

近くの氏神さんの境内、静寂を破り団栗の実が降る。 木の葉を叩き、落ち葉を叩く音がする。 落ちた団栗を探すに、落ちた音を探している自分がいた。

『山風に翅たたみけり秋の蝶』

やや冷たき風、山から吹き下ろす風のあり。 蝶は向かい風に抗うことなく、地に降りて風をやり過ごす。 じっと耐えるかのように。 しばらくして、草丈の高さを再び舞う秋の蝶であった。 晩秋!

『茶の花や庭蔵の立つ農屋敷』

農家の屋敷は広い。 敷地の境界には、茶の木が植えられている。 春には茶葉を摘み、自給自足していたものだ。 当地の旧農家さんの屋敷には、今も母家、納屋、蔵、厠などの建物が建っている。 昭和の時代、庭蔵は収穫した自家用の一年分の米などが、納められ…

『小鳥来るこれより伊勢の大鳥居』

「七里の渡し跡」の鳥居である。江戸時代、東海道唯一の海路で、桑名宿と宮宿(名古屋市熱田区)の距離は七里。 七里の渡しと呼ばれ「伊勢国、一の鳥居」が立つ。伊勢神宮への参宮街道につながり、鳥居は伊勢神宮宇治橋の鳥居を遷宮の後、譲り受けて建てられ…

『秋澄むや大切つ先の鎌ヶ岳』

秋晴れが続き、空気が乾いている。今、遠景の山も峰々が、はっきり見えるようになってきた。 鈴鹿セブンマウンテンの鎌ヶ岳。名前の由来である、山容が鎌の刃のように鋭く、くっきりと見える。 鈴鹿の槍ヶ岳といわれている。

『神域の御空の清し鵯の歌』

神社の木々は実をつけ、鳥が啄ばむ姿が見える。 一番甲高き鳴き声のひよどり。 抑揚をつけて、濁りなき声。「ピイー、ピイー、ピイー」、「ピーヨ、ピーヨ」 境内には、神鶏も飼われていて、昼時であるが、時を告げる「コケコッコーー」も。 町中の神社であ…

『「バイエル」のしらべ伸びやか青蜜柑』

小高い蜜柑山の地続きに、住宅団地が開発され、新しい生活が始まっている。 蜜柑畑の坂道が通学路。若い世帯が住み活気がある。子供が弾くピアノも聞こえる。 私の住まう団地は、開発後40年で老人世帯となり、中に転売された住まいに若い人が入居されるが、…

『金木犀香りの投網放ちをり』

近所の路地歩けば、いま金木犀の香りがあちこちの庭より漂ってくる。 その香りを、探している自分がいる。 気がつけば、香りの網に吸い込まれている。 その金木犀の庭での立ち姿、まちまち。ツリーの形、丸く刈られたり、高い木、低い木と。 でも香りを、一…

『青硝子大一枚の秋の空』

今日は朝から青空、雲ひとつなく大きな空。それが昼過ぎても、そして一日通しての青空。秋を、たっぷり広げてくれた。 標高403mの多度山、登山道が整備され一時間で登れる。山頂では、名古屋駅の高層ビル群が見渡せる。今年の5〜8月登山者は3万人、例年の倍…

『峡の畑あれこれ熟れし銀杏の実』

銀杏の実。銀杏の葉はまだ緑、黄葉はこれから。 色づいた実を、いっぱい枝につけている。 農家さんがシートを敷き、落ちる実を収穫するようだ。 食する〝ぎんなん〟とするには手間をかける。 種皮は悪臭や、手で触ればかぶれもする。 スーパーの地元農家さん…

『朝風に撓ひて遊ぶ猫じやらし』

小さき風に、大きくしなる、猫じゃらし。 農道に、路地に、空き地にと、人の足にも寄りかかってくる。 家猫は、ヒモを垂らしてあげると、喜んで飛びついてくる。しばらくは飛び跳ねたり、寝転んだり、猫も考えてじゃれている。自分で遊んでいる。

『ゼンマイの気怠き時報夜長かな』

昭和の世、ゼンマイ時計が夜中に打つ時報である。 ゼンマイの、バネがほどけきる頃、時報の音は間延びしており、その音は余計に夜を長く感じさせたものである。 ゼンマイ時計は、今も実家の居間に掛けられているが、使ってはいない。 2年前、名古屋の大須観…

『改札へつづく野道の秋桜』

今朝は、台風の影響で雨風強かったが、畑の野菜を心配する程でなくおさまった。 一昨日のコスモス田の様子は、二分咲き。 隣町のローカル線駅前にある休耕田。毎年場所を変えて休耕田に一面コスモスが咲き誇る。アートを感じさせる町である。 電車は小型の電…

『一村の天地しづもる虫の声』

当地区の一部で、稲刈が始まった。力強い、コンバインの動力の音がする。 夜は虫の声のみ、静かな地である。 虫の声を、いくつ聞き分けられるか。闇の奥まるあの辺りに、声が。 一村の天地の一日を静める、虫の声である。 夜は、虫の天下でもある。

『薄茶色一筆入れて山九月』

多度峡はハイキング、川遊びと8月は家族連れの声が弾けていた。 川の流れを堰き止めた、天然プールが市の施設としてあり、利用されている。プール開きも行われた。 そして今、多度の山に薄茶色が混じり出した。 山九月である。

『鈴鹿嶺を岩礁と置く鰯雲』

一昨日の朝、鈴鹿の山に今年初めての鰯雲を見た。午後も畑作業中に鰯雲を。 鈴鹿山脈は、三重県北部の滋賀県境に位置する。1000m〜1200mの山々。地元のシンボルで「鈴鹿セブンマウンテン」と言われてる。 御在所岳1212mが最も人気の山。登山、ロープウエイ、…

『にこやかな絵文字の顔の案山子かな』

小学校の体験学習の田も、秋の田となり始た。 案山子が立てられ、顔は現代風の顔して。 着てるものは割烹着で、後ろは文具のクリップ5個が、補助として留めてある。 小学生の収穫作業を喜ぶ姿が、想像できる。稲雀のように声あげて。

『つぎつぎと緑のアーチ稲子跳ぶ』

赤とんぼ、彼岸花、そして稲子。稲穂が輝く色へ。 田んぼの畔道を踏めば、突然飛び跳ねる稲子が。進む足先には、緑のアーチが次々と。 隠れていたものが、飛び出しては逃げるように。まだ小さな稲子が、いっぱい。 そして、今朝は我が家の部屋に、何故か小さ…

『刈草の土手に生かされ彼岸花』

川の土手、にわかに咲き出す彼岸花。目に留まる色である。いつの間に、でも彼岸の近づくこと知らせてる。 彼岸花は土手の草といっしょに刈られることはなく、土手に聳えている。「花のある景観を守ろう」の看板の立つ場所もある。 農用水の川の両岸に、彼岸…

『枝豆や小皿に残る莢ひとつ』

居酒屋の定番、枝豆である。初採りの枝豆を、レシピ通りに茹であげる。 青々と、そして滑らかな丸みに溢れる野の香り。 6月に種まきした枝豆、今年は成育良好であった! 枝豆は害虫が多く、種まき時より畝全体をネットで覆っておいた。 水やりも回数多くした…

『雨止みの風を逃さず赤とんぼ』

いつまでも続く雨。時に雨の止み間を、万歩計と出かけた。 稲穂が垂れては、少し色を付けてきた。 と、そこに赤とんぼの3匹程が、飛んでるを見つけた。 どうやら雨の止むのを、待ち構えていたようだ。 風に乗り、風に遊ぶ赤とんぼである。 雨続きではあるが…

『かなかなの声のさざなみ鍬を置く』

雨続きの中、一昨日は一時の晴れ間あり。9月初旬に種まきする白菜、大根などの畝作りをする。スコップと鍬で荒起こしをした。 夕方、傍の山より蜩の声が聞こえてきた。秋を実感した日である。 哀調のある鳴き声、それに日が暮れるのも少し早くなってきた。秋…

『慶応を刻む本家の墓拝む』

お盆の実家への墓参りも控えたが、ご先祖のご遺徳を偲ぶ。 昭和のお盆、精霊棚をつくり盆僧にお経をあげて戴く。松の木の蕊で門火を焚き、精霊を迎える。14、15日は朝6時家族全員で墓参り、ご先祖の霊を供養する。 そして本家の墓を参る。盆礼で実家に親の…

『縦縞の引幕走る山白雨』

昨日は台風の影響で、時折強い雨が降ったりした。 当地区、今年は夕立を見ることもなく、立秋となった。 畑への水やりを2〜3日毎、夕方に行ってはナス、トマト、キュウリ、ピーマン等を守る夏であった。 収穫は、私を楽しませてくれる位はあった。後はもう少…

『日は西に日傘も西に傾けり』

夏の日の午後4時である。(一昨日) 隣町での駅近く、日傘で強い日差しを避ける人、西日となり日傘も自然西に傾くのである。 公園では建物の大きな陰に入り、本を読む同年代の人の姿を見かけた。地面を渡る風は、温風ではあるが、家での冷房より自然の風は…

『城跡に万の雄叫び蝉時雨』

戊辰戦争の旧幕府側、桑名藩の城跡。今は天守なく掘割残すのみも、公園として整備されてる。 静かな場所であるが、「えいえい」「おう」、「えいえい」「おう」! この時期、戦士が鬨の声をあげ、士気を鼓舞しているのでは。と思える叫声が聞こえる。 蝉時雨…