『 俳 句 』 能なし

俳句初心者が、俳句で綴る日記帳    『難読語読めぬ俳句の冬講座』

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『木の実落つ音を探して実を探す』

近くの氏神さんの境内、静寂を破り団栗の実が降る。 木の葉を叩き、落ち葉を叩く音がする。 落ちた団栗を探すに、落ちた音を探している自分がいた。

『山風に翅たたみけり秋の蝶』

やや冷たき風、山から吹き下ろす風のあり。 蝶は向かい風に抗うことなく、地に降りて風をやり過ごす。 じっと耐えるかのように。 しばらくして、草丈の高さを再び舞う秋の蝶であった。 晩秋!

『茶の花や庭蔵の立つ農屋敷』

農家の屋敷は広い。 敷地の境界には、茶の木が植えられている。 春には茶葉を摘み、自給自足していたものだ。 当地の旧農家さんの屋敷には、今も母家、納屋、蔵、厠などの建物が建っている。 昭和の時代、庭蔵は収穫した自家用の一年分の米などが、納められ…

『小鳥来るこれより伊勢の大鳥居』

「七里の渡し跡」の鳥居である。江戸時代、東海道唯一の海路で、桑名宿と宮宿(名古屋市熱田区)の距離は七里。 七里の渡しと呼ばれ「伊勢国、一の鳥居」が立つ。伊勢神宮への参宮街道につながり、鳥居は伊勢神宮宇治橋の鳥居を遷宮の後、譲り受けて建てられ…

『秋澄むや大切つ先の鎌ヶ岳』

秋晴れが続き、空気が乾いている。今、遠景の山も峰々が、はっきり見えるようになってきた。 鈴鹿セブンマウンテンの鎌ヶ岳。名前の由来である、山容が鎌の刃のように鋭く、くっきりと見える。 鈴鹿の槍ヶ岳といわれている。

『神域の御空の清し鵯の歌』

神社の木々は実をつけ、鳥が啄ばむ姿が見える。 一番甲高き鳴き声のひよどり。 抑揚をつけて、濁りなき声。「ピイー、ピイー、ピイー」、「ピーヨ、ピーヨ」 境内には、神鶏も飼われていて、昼時であるが、時を告げる「コケコッコーー」も。 町中の神社であ…

『「バイエル」のしらべ伸びやか青蜜柑』

小高い蜜柑山の地続きに、住宅団地が開発され、新しい生活が始まっている。 蜜柑畑の坂道が通学路。若い世帯が住み活気がある。子供が弾くピアノも聞こえる。 私の住まう団地は、開発後40年で老人世帯となり、中に転売された住まいに若い人が入居されるが、…

『金木犀香りの投網放ちをり』

近所の路地歩けば、いま金木犀の香りがあちこちの庭より漂ってくる。 その香りを、探している自分がいる。 気がつけば、香りの網に吸い込まれている。 その金木犀の庭での立ち姿、まちまち。ツリーの形、丸く刈られたり、高い木、低い木と。 でも香りを、一…

『青硝子大一枚の秋の空』

今日は朝から青空、雲ひとつなく大きな空。それが昼過ぎても、そして一日通しての青空。秋を、たっぷり広げてくれた。 標高403mの多度山、登山道が整備され一時間で登れる。山頂では、名古屋駅の高層ビル群が見渡せる。今年の5〜8月登山者は3万人、例年の倍…